仕事のミスをした場合の損害賠償
みなさんこんにちは。多摩市の聖蹟桜ヶ丘駅近隣で弁護士をしている堀木です。
きょうは、仕事のミスをした場合の損害賠償についてお話ししたいと思います。
会社で働く際、ミスをして会社に損害を与えてしまい、会社から損害賠償金の支払いを求められる場合があります。
また、仕事に関連して第三者に損害を与えてしまい、会社がその第三者に損害金を支払い、その損害金について会社がミスした従業員に請求する場合(これを求償といいます)もあります。
このような場合に、仕事上のミスをした従業員は会社に損害賠償をしなければならないのでしょうか?
人間は機械ではないのですから、一生懸命働いても仕事上のミスが起きることはあります。
ですから、仕事上のミスをした従業員が賠償をしなければいけないかどうかはケースバイケースです。
ただし、基本的な考え方は、以下にお話しするとおりになります。
まず、仕事の中で通常求められる注意義務を尽くしているといえる場合は、損害賠償をする義務はありません。
損害賠償の基礎となる「過失」がないからです。
例えば取引先が倒産して売掛金が回収できなくなったような場合がこれに当たります。
また、些細な不注意によって損害が生じてしまった場合、そのような不注意が日常的に一定の確率で発生するのが通常であるといえる場合には、損害賠償義務が発生しないことがあります。
例えば飲食店で皿を割ってしまうような場合です。
一方、明らかな過失や故意がある場合には、従業員に損害賠償義務が生じます。
ただし、すべての損害を賠償する義務があるかは別問題です。
どの程度の賠償義務が認められるかは、過失の程度、会社側の管理体制などを考慮して決まります。
また、同じミスに対して、特定の一部の労働者に対してだけ損害賠償請求をすることは、差別的取扱いとして許されない場合もあります。
それでは窃盗や業務上横領等の犯罪行為はどうでしょうか。
やはりこのような場合には損害の全額について賠償する義務が生じます。
基本的な考え方はこのようになります。やはり事案毎に細かく考える必要があるということですね。